第643章

小林絵里はびくりと全身を強張らせ、警戒するように彼を見た。

坂田和也は沈んだ眼差しで彼女を見据え、「小林絵里……おまえ、本当にもう気にしないのか?」

小林絵りは可笑しくてたまらないといった顔で返す。

「坂田和也、なにやってるの?」

坂田和也は彼女の手をつかみ、そのまま自分の胸元へ押し当てた。整った顔に、戸惑いが滲む。

「おまえが言ったこと……なんで俺、こんなにきついんだ? 特にここ……痛い」

小林絵里は指先をきゅっと丸め、力いっぱい手を引き抜いた。

「坂田和也、わたしにそんな話をする必要はありません。わたしは気にしない……」

「だめだ」

坂田和也が言葉を遮る。

「気にして...

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