第663章

「……どうしても、俺と離婚したいのか?」

 坂田和也は彼女の目の前に立ち、逃げ道を塞いだ。切れ長の瞳が複雑な色を帯びて絵里を見つめる。言いたいことが山ほどあるのに、うまく言葉にならない――そんな顔だった。

 小林絵里は必死に平静を装い、口を開く。

「三日後には調停……じゃない、法廷よ。坂田和也、今さらそんなこと言って、どういうつもり?」

 坂田和也は手を伸ばし、そっと彼女の頬を撫でた。

「絵里……もう、俺のこと愛してないのか?」

 絵里はわずかに顔を逸らし、その指先を避ける。

 宙に取り残された手が固まった。露骨な拒絶を目にして、坂田和也は唇の端を引きつらせる。

 自嘲と、苦...

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