第673章

その言葉を聞くなり、小林絵里はがばっと上体を起こした。けれどすぐに息を整え、落ち着いた声で言う。

「彼は病院にいるんでしょう。こういうときは、お医者さんを呼ぶべきです」

古川修一の口調が、いくぶん冷えた。

「だが、ずっとお前の名前を呼んでる。小林絵里……お前ら、いろいろあったのは分かる。もうすぐ離婚だってのもな。けど、だからって死ぬまで他人みたいに縁を切る段階じゃないだろ。今は怪我してる、それもお前のせいでだ。見舞いに来るくらい、するべきじゃないのか?」

小林絵里はそっと目を閉じ、短く答えた。

「……今から行きます」

通話を切ると、彼女は着替え、車のキーを掴んで家を出た。

病院...

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