第68章

坂田和也は口元をわずかに引きつらせ、淡々と言った。

「一火、彼女を睨むな。こいつは気が小さいんだ」

庄司一火は押し黙った。

「……」

小林絵里も言葉を失う。

「……」

車内には、次第に気まずい空気が漂い始めた。

やがて、車は目的地に到着した。

そこは打ち捨てられた廃倉庫だった。

車を降りた小林絵里は、目を細めた。

「どうしてこんな所に?」

坂田和也が答える。

「中にいる」

廃倉庫の固く閉ざされた扉を見つめ、小林絵里はギュッと唇を噛み締めた。

庄司一火が歩み寄ると、入り口を見張っていた二人のボディガードが揃って声を上げた。

「一火さん」

彼が軽く手を振ると、ボデ...

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