第681章

松本桜も小林絵里もその話を聞いて、そろって胸を撫で下ろした。

よからぬ企みのある相手じゃないなら、それでいい。

その件はすぐに頭の片隅へ追いやられ、小林絵里は体調が戻ると仕事に復帰した。

いま手元にある案件は坂田和也の一件だけ。彼女は毎日工事現場に顔を出しては施工の具合を確認し、気になる点があればその場で手を入れていく。

その日も現場を出た帰り道、道路脇の椅子に腰掛けた男が目に入った。近づいた瞬間、男は椅子からずるりと滑り落ち、彼女の目の前で倒れ込んだ。

小林絵里はぎょっとして反射的に一歩下がり、きょろきょろと周囲を見回す。

人通りはほとんどなく、車だって滅多に通らない。

どう...

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