第713章

「調子に乗るなよ」

 古川修一が掠れた声でそう呟き、彼女の腰を掴む。今この場で、そのままダイニングテーブルに押し倒してしまいそうな勢いだった。

 松本桜は呼吸が乱れたまま、しばらくして彼が手を離してようやく、はぁ、と息を吐く。

「それで……答えてくれたってこと?」

 古川修一は気だるげに口角を吊り上げた。

「いいぞ、彼女」

 松本桜はふっと笑い、彼の上から身を起こして向かいの席へ。自分の前のステーキ皿をすっと彼のほうへ寄せる。

「切って」

 甘えた横暴さが、古川修一の心をくすぐった。喉仏がごくりと大きく上下する。

 恋愛経験なんてほとんどない。なのに彼女は、場数を踏んだみた...

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