第736章

「……何を言ってるの?」

 小林絵里は眉をひそめ、彼女を見据えた。

 立田芳子が焦ったようにまくし立てる。「わたしは知ってるの、たくさん……たくさんよ。ここから逃がしてくれたら全部話す。小林絵里、あんたが手に入れるはずだったんだよ、あの恵まれた暮らしは。誰かが……あんたの身分を奪って、成り代わったの!」

 小林絵りは頭の中がぐちゃぐちゃになり、斉藤子玄のほうを見た。

 ――誰かが、わたしの身分を?

 斉藤子玄が低く言う。「どうやら、本当に彼女を外へ出すわけにはいかないな。君が実の親を探せなかったんじゃない。先回りして、君の実の親を奪った人間がいる。小林絵里、真相を突き止めるしかない...

ログインして続きを読む