第755章

小林絵里の顔がぱっと明るくなった。

「外の火、弱まりましたか?」

庄司北斗が答える。

「もう押さえました。先に、ドアを開けてください」

小林絵里は濡れた服を体に巻きつけ、火の舌に舐められない距離だと確かめてから、そっと扉を開けた。

庄司北斗は濡れたタオルで口元と鼻を覆っている。彼女の姿を見つけた途端、肩から力が抜けた。

「奥様、こちらへ!」

そのとき初めて小林絵里は気づく。火元は台所のほうだった。台所近くの部屋は炎に呑まれ、黒煙がもくもくと立ち上っている。

斉藤子玄は目覚めが早かったらしく、子どもたちを先に外へ避難させていた。今は消火器を手に、必死に火を叩いている。

庄司亜...

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