第82章

 小林絵里は「……」と、ただ沈黙するしかなかった。

 すっかり気力が失せてしまった。

 手に入るはずだった6億円が消え去り、会社を辞める強気な態度もどこへやら。

 ああ、本当にムカつく!

 彼女のそんな顔を見て、松本桜が尋ねた。

「あのくそ野郎、なんて言ったの?」

 小林絵里はため息をついた。

「自分でくそ野郎って言ってるじゃない。まともなこと言うわけないでしょ?」

 松本桜は言葉に詰まった。

「……」

 小林絵里は重いため息を吐き出して言った。

「今日はもうお祝いできないわ。会社に戻って仕事しないと」

 松本桜は目を瞬かせた。

「あんた、辞めたんじゃなかったの?」...

ログインして続きを読む