第84章

薄暗い個室の中で、小林絵里は少し身を乗り出し、中を覗き込んだ。すると、ソファに座って少し背を反らせている坂田和也と、その隣に寄り添ってティッシュで彼の額を拭う夏目夕子の姿が目に飛び込んできた。

いかにも親密そうな様子だ。

絵里が目を細めて見つめていると、夕子が立ち上がり、何かを取ろうとして足元をふらつかせた。そのまま二、三歩よろめき、和也の体の上に倒れ込んだのだ。

「動画、撮る?」

突然、耳元でからかうような声がした。

絵里が勢いよく振り返ると、いつの間にか高川寒彦が彼女を真似て、少し身を屈め、目を細めながら個室の中を覗き込んでいた。

彼は絵里より背が高いが、こうして身を屈めてい...

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