第855章

小林絵里はわずかに首を傾け、足音と気配だけを頼りに確かめるように口を開いた。

「……南?」

 すぐに、驚いた声が返ってくる。

「その目、どうしたんだ?」

「監禁してる人に……目に薬を注射されたんです。いま、何も見えません」

 その言葉を聞くなり、南は彼女の手首をそっとつかんだ。

「だったら連れて出る。先に病院で診てもらおう」

 小林絵里は本能的に身を引きかけた。けれど、他に選択肢がない。ここに留まれば、監禁していた相手が誰かを連れて戻ってくるかもしれない。

 結局、彼女は南に導かれるまま歩き出した。

 それでも、腑に落ちない。

「……どうして、わたしの居場所がわかったんで...

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