第96章

夏目夕子は真っ直ぐ坂田和也の胸に飛び込んだ。

「和也、これどういうこと? わたし怖い……」

坂田和也の体が一瞬だけ強張った。彼女の腕を掴み、そのまま引き剥がす。

「ブレーカーが落ちたんだろう。見てくる」

だが、夏目夕子は再びすがりつき、彼を抱きしめようとした。

「行かないで、怖いよ」

彼女の体から甘い香水の匂いが絶え間なく漂い、坂田和也の鼻先をくすぐる。

彼は深く眉をひそめ、再度彼女を突き放すと、スマホを取り出してライトを点灯させた。

「これを持って、照らしてくれ」

夏目夕子は表情を強張らせたが、結局そのスマホを握りしめた。

坂田和也が配電盤の前に立って確認すると、やはり...

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