第105章

サマー視点

「ほら、行こう」ミアはやわらかい声で言った。「これ以上みんなにじろじろ見られる前に、人目のないところへ」

彼女は私の肘にそっと手を添え、女子トイレのほうへ導いてくれた。私は花束を胸に抱きしめる。手を離したら消えてしまう気がして、どうしても放せなかった。花は思っていたより重く、茎は湿った紙で包まれ、素朴な麻ひもで結ばれていた。見た目に派手さはない。けれど、咲いている花そのものは息をのむほど見事だった。

洗面所に入ると、ミアはペーパータオルを濡らして私に渡した。「その顔、なんとかしなよ。もうすぐお母さん来るんだから。これじゃ一時間は泣き続けたみたいに見えるよ」

私は目元をそっと...

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