第140章

夏の視点

校舎に戻りかけたところで、正面玄関から出てくるトンプソン先生が目に入った。手にはクリップボード。胃の底がすとんと落ちる。

「うそ、トンプソン……」

キーランは即座に反応し、私を建物と建物の間の細い路地へ引き込んだ。私たちはレンガ壁に身体を寄せる。彼の手は、さっきからずっと私の手を握ったままだった。掌のぬくもりは懐かしくて、同時にびりびりと胸をしびれさせる。二十分も前、あのコーヒーカートの外で、私たちが越えてしまった境界線を思い出させるぬくもり。

「もう行った?」私はささやいた。

彼は少しだけ身を乗り出して様子を確認し、こちらに戻ってきた。近い。近すぎる。彼の瞳の灰色の正確な...

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