第151章

キーラン視点

地下鉄の駅から自転車で戻る道が、必要以上に長く感じられた。距離のせいじゃない――サウシーなんて、そこまで遠くはない。そうじゃなくて、頭の中がずっと、サマーが俺にしがみついたあの感じへと戻ってしまうからだ。滑りかけたとき、彼女の腕が俺の腰に回ったこと。服越しに背中へ押しつけられた、頬の熱。

俺はペダルを踏み込んだ。記憶から逃げ切れるみたいに。

やがて自分の通りに曲がると、速度を落とし、癖で路肩に停まった車を目で追った。ドレイクのボロボロのシビックは見当たらない。胸の奥のしこりが、ほんの少しだけ緩む。

鍵を取り出し、ドアを見つめた。先週取り付けたばかりの新しい錠前が、廊下の明...

ログインして続きを読む