チャプター 89

ケイラン視点

「あなたが望まないかぎり、先生のところへ行ったりしない。約束するわ」彼女は、一語一語を慎重に選び、まるで誓いを立てるみたいに言った。「でも、ケイラン。あなたも私に約束して。もし辛すぎたら、もし一人で抱えきれなくなったら、私に言って。助けさせて。いい?」

息ができなかった。胸が内側から押し潰されそうで、長い年月をかけてレンガを一つずつ積み上げ、壁で囲ってきた何かが――いま、ひび割れて開いていくみたいだった。けれど彼女は、その奥へ入り込んでくる。俺の防御をすり抜け、弱いところを正確に探り当てていく。止め方がわからない。

そして、止めたいのかどうかさえ。

小指は、もう感覚が鈍く...

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