第2章

誠一が一歩前に出た。私は引き金を絞った――

「待って!」と私は叫んだ。「蓮司に雇われてるんでしょ? あいつがお金をどこに隠してるか知ってる。もっと渡せるわ!」

男たちは顔を見合わせ、それから爆笑した。

「金?」誠一は首を振った。「お嬢ちゃん、俺たちに必要なのは現金じゃない。必要なのは……娯楽さ」

奴らが迫ってきたところで、私は発砲した。

銃声が雷鳴のように轟いた。誠一が肩を押さえてよろめき、指の間から血が滲み出る。だが、それは奴らを逆上させただけだった。

俊明と大悟が私に襲いかかってきた。俊明の太腿に一発撃ち込んだが、もう一度引き金を引くと――

カチッ。

くそっ、支給品の安物が、一番肝心な時に弾詰まりなんて。

大悟が私の手から銃を奪い取り、逆手で顔を殴りつけた。私はコンクリートに激しく叩きつけられ、口の中に鉄の味が広がった。

「生意気な捜査官さんだな」男は私を組み伏せ、服を破りながら言った。「まぁ、そういう女は嫌いじゃないぜ」

私は抵抗した――爪を立て、噛みつき、喉が張り裂けるまで叫んだ。だが、必死の犯罪者三人に対し、私は一人。良い結果になるはずがなかった。

誠一が、肩から血を滴らせながら私を見下ろした。「誰も助けには来ねえよ、お姫様。お前の彼氏がそう仕向けたんだからな」

彼の言う通りだった。

援軍は来ない。

私が信じた男が、この手で私を地獄に突き落としたのだから。

乱暴な手が服を引き裂き、冷たいコンクリートが剥き出しの肌に触れる。私は固く目を閉じた。奴らの笑い声が悪夢のように壁に反響していた。

闇に意識を奪われる前の、最後の明確な思考。

『蓮司、この落とし前は必ずつけさせてやる』

意識を取り戻したとき、目に入ったのは白い天井と、目に刺さるような蛍光灯の光だった。

消毒液の匂い、機械の規則的なビープ音、そして痛み――全身を苛む痛み。特に下半身は、引き裂かれたかのような激痛が走っていた。

病院。私は病院にいるのだ。

「恵莉奈!」感情のこもった聞き覚えのある声が響いた。「よかった、目が覚めたんだね」

必死に首を動かすと、ベッドのそばに座る蓮司の姿があった。目は赤く腫れ上がり、疲労と罪悪感がその顔に刻まれている。私の手を握るその手は温かく、最後の命綱にでもすがるかのように震えていた。

真実を知らなければ、彼の演技に心を動かされていたかもしれない。

「あなた……」私の声は紙やすりのようにざらついていた。「よくも、のうのうと顔を見せられたわね」

蓮司の表情はたちまち崩れ、頬には実際に涙が伝っていた。映画界は彼に主演男優賞を贈るべきだろう。

「本当にごめん」彼は私の手を自分の顔に押し当て、その涙で私の肌を濡らした。「全部、俺のせいだ。パニックになってしまったんだ。階段が崩れた時、次は自分が狙われると思って……助けを呼びに外へ走った。でも、電波の届く場所を見つけて警察に通報した時には、君はもう……」

彼はそこまで言うと、嗚咽に言葉を詰まらせた。

私は彼を見つめた。ただ、じっと。傍らの心電図モニターが、私の脈拍が速まっているのを示している――感情の昂りではなく、怒りによって。それでも、彼の手を振り払う力さえ、今の私にはなかった。

「警察を呼んだの?」ガラスの破片を飲み込むような思いで、私は尋ねた。

「もちろんさ!」蓮司は顔を上げ、痛々しいほど真摯な表情を浮かべた。「すぐに警察に通報して、それから本部にも連絡した。SATを連れて君を助けに戻ったのは俺なんだ、恵莉奈。あの三匹の獣どもは逮捕された。自分たちのしたことの代償を払うことになる」

完璧な脚本だ。英雄的な恋人が、恋人を救うために間一髪で戻ってくる。三人の犯罪者は捕まり、めでたしめでたし。

――集団レイプされた挙句、病院のベッドに寝かされている私を除いては。

ドアが開き、深刻な面持ちの男女二人の刑事が入ってきた。

「榊原さん、警視庁の三浦と申します」男性刑事のほうが手帳を取り出した。「昨夜の事件について、事情聴取をさせていただきたく。お辛いようでしたら日を改めますが、記録は早ければ早いほど良いので」

私は頷いた。どんな動きも痛みを伴ったが。

「昨夜、何があったか話していただけますか」と三浦刑事は言った。

私は深呼吸をして、話し始めた。蓮司がタレコミを持って私のオフィスに飛び込んできたことから、倉庫への到着、階段が破壊されたこと、蓮司が車で走り去ったこと、そして三人の逃亡犯が現れたことまで。

言葉を重ねるごとに、蓮司の表情は暗くなっていった。

私が「蓮司が私を取引材料に使った」という部分に差し掛かった時、彼は椅子を蹴って立ち上がった。

「違う!」彼は震える声で遮った。「恵莉奈、それは全くの誤解だ。君を見捨てたんじゃない――助けを呼びに行ったんだ」

「じゃあ、どうして階段が壊れたの?」私は彼を睨みつけた。「あなたが去った後、都合よく壊れたとでも言うの?」

蓮司は一瞬ためらったが、すぐに立ち直った。「犯人たちがやったに決まってる。俺たちを逃したくなかったんだ。恵莉奈、君はトラウマを負っている――記憶が影響を受けているのかもしれない……」

「影響?」私は唇の傷に触れながら、乾いた笑いを漏らした。「全部、はっきり覚えてるわ。あなたの車のエンジン音、あなたが走り去る姿、そして誠一が言った『お前の男が、お前は贈り物だって言ってたぜ』っていう言葉もね」

刑事たちの視線が、私たちの間を行き来した。

「榊原さん」女性刑事のほうがついに口を開いた。「あなたはすぐに現場を離れたのですか?」

「助けを呼ぶためです!」蓮司は感情を爆発させた。「刑事さん、監視カメラの映像を確認してください。襲撃の推定時刻から五分も経たないうちに警察に通報しています。五分ですよ! 俺が関与している可能性なんてあるわけがないでしょう?」

三浦刑事は眉をひそめ、手帳に何かを書きつけた。

「それに」蓮司は途切れ途切れの声で続けた。「恵莉奈と俺は二年間付き合っています。愛しているんです。どうして彼女を傷つけたりできますか? あの倉庫へ行くと主張したのは彼女のほうなんです。俺は応援を待つべきだと説得しようとしたんですが、彼女は好機を逃せないと……」

「嘘よ!」私は身を起こそうともがいたが、痛みに阻まれて再びベッドに倒れ込んだ。「それを推し進めたのはあなたじゃない! 応援を待てないって言ったのはあなたよ!」

「恵莉奈、落ち着いて」蓮司は私の手に手を伸ばしたが、私はそれを叩き払った。「君は今、精神的に不安定なんだ。君が言っていることは――」

「私は正気よ!」

「榊原さん」三浦刑事が割って入った。「お怒りはごもっともですが、我々には客観的な証拠が必要です。黒嶋さんの警察通報とタイムラインによれば、彼は事件発生直後に通報しています。そして……」彼は言葉を切り、「現場からは、黒嶋さんと三人の容疑者との間に接触や取引があった証拠は見つかっていません」

私の心は沈んだ。

証拠がないのは当たり前だ。蓮司は検事補――自分の痕跡を消す方法を熟知している。

その後の聴取は、まるで私が被告人であるかのような裁判のようだった。

刑事たちは、なぜ応援も待たずに入ったのかと尋ねた。私は蓮司が主張したと言い、蓮司は私のアイデアだと主張した。

彼らは、なぜ二階へ向かったのかと尋ねた。私は蓮司がそこへ誘導したと言い、蓮司は私の判断だったと言った。

全ての質問に対し、蓮司は完璧な答えを用意し、全ての責任を巧みにかわしていった。

ついに、三浦刑事は手帳を閉じ、複雑な表情で私を見た。「榊原さん、少しお休みください。もし何か他に思い出されたことがあれば、いつでもご連絡を」

彼らは去り、部屋には蓮司と私だけが残された。

「恵莉奈」蓮司の声は柔らかく、勝者の持つ優しい見下すような響きを帯びていた。「君がトラウマを抱えていて、もしかしたら……記憶に歪みが生じているのかもしれないことはわかっている。医者もそれが普通だと言っていた――PTSDだ。セラピーの間も、ずっとそばにいる。一緒に乗り越えよう」

私は彼を見た。かつて深く愛したこの男は、今では私を襲った三人の犯罪者よりも忌まわしく感じられた。

「出てって」私は言った。「とっとと消えなさい」

蓮司は、まるで理不尽な子供を相手にしているかのようにため息をついた。「ゆっくり休んで。また明日来るから」

ドアの前で、彼は足を止め、振り返った。「愛してるよ、恵莉奈。君がどれだけ俺を誤解しても、その気持ちは変わらない」

ドアが閉まり、私は天井を見つめながら、静かに涙を流した。

傷ついたからではない。憎しみからだ。

自分の無力さが憎い。証拠が何一つないことが憎い。そして、あんな怪物に恋をしてしまった自分が、憎くてたまらなかった。

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