第8章

もちろん、私が階下へ行くはずもなかった。

こんな見世物の一員に志願するなんて、馬鹿のやることだ。武装した逃亡犯三人、甘やかされたお嬢様、それに幻覚を見ている元カレ――これはもう、どんなサスペンスドラマよりも面白い。

どうしてこの娯楽を中断する必要がある?

「もう二十分だ」誠一が腕時計を確認した。「あの女捜査官、来る気はないな」

「警察を呼んだのかも」と俊明が言った。

「あり得ない」大悟は調べていた財布からクレジットカードを抜き取りながら言った。「だったら今頃サイレンが聞こえてる。俺たちを遊んでやがるんだ」

誠一はにやりと笑い、床にうずくまって震えている颯花の元へ歩み...

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