第14章 二人の男に奪い合われる

その瞬間、白川凰姫には――救いの手が差し伸べられたように見えた。

ほとんど反射的に、彼女は全身の力を振り絞って相良沢弥の手を振りほどく。

周囲の驚愕の視線を切り裂くように早足で進み、入口に立つ逆光の男へ一直線に駆け寄った。

「……どうして、来たの」

目の前で足を止め、見上げる。声には、自分でも気づかない震えと――縋るような甘えが混じっていた。

凰姫が言い訳を口にするより先に、芳丸巡哉は彼女を引き寄せ、背中へ回した。自分の背後に、確かに「避難」させる。

それはただの庇護じゃない。露骨なまでの所有を告げる仕草だった。

巡哉は凰姫に安堵の視線すらやらない。底の見えない双眸は終始氷のよ...

ログインして続きを読む