第25章 逃れようがない姿

川瀬清子は、言葉を失った。

白川凰姫を見つめる。いつもは柔らかな眉と目元。その奥に今、ちいさく、けれど確かな火が灯っている。恐怖じゃない。闘志だ。

首都国際空港のVIPラウンジ。

長距離フライトを終えたばかりだというのに、文井青葉の顔に疲れは微塵もなかった。

シャネルの端正なスーツ。隙のないメイク。ボルドーの巻き髪が照明を受けて艶やかに揺れる。駆けつけた報道陣に囲まれても、彼女は涼しい顔で受け答えしていた。

「文井さん、今回なぜ『スターライト・コンクール』を選ばれたのでしょう。ご経歴なら審査員でも十分なのに、審査員を辞退してまで出場を」

文井青葉はカメラへ、完璧と呼ぶほかない微笑...

ログインして続きを読む