第37章 彼女は悔しい

「この結婚……離婚する。絶対に」

声には、退路を断つような決意が滲んでいた。

川瀬清子の表情が、驚きから戸惑いへ移り、最後には長い溜め息に変わる。

白川凰姫に「バカじゃないの」と浴びせてやりたかった。けれど、口に出そうとした棘のある言葉は全部、喉の奥でつかえて消えた。

「……本気なの?」

「本気」白川凰姫は頷く。「この子は私の子。誰かの付属品じゃない。これからは――私が育てる」

軽い口調だった。なのに、地面を打つ石みたいに重い。

川瀬清子がふっと笑う。笑いながら、目尻に小さな涙が滲んだ。

「いいよ。じゃあ一緒に育てよう。誰かがあんたたちに手ぇ出したら、私が画板でぶん殴ってやる...

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