第42章 相良沢弥に二度と会うな

芳丸巡哉の声は静かだった。だが重い玄氷の塊みたいに、そこにいる全員の胸へずしりと落ちる。

温水鈴花は手首を握り潰されるほどの痛みに息をのんだ。恐る恐る顔を上げると、底の見えない瞳とぶつかる。そこに感情はない。ただ、ぞっとするほど澄み切った無関心だけがあった。

「よ……芳丸巡哉……」

震える声が喉で引っかかり、言葉にならない。力が強すぎて、骨が砕けそうだった。

玄関で野次馬になっていた一族は、いっせいに石みたいに固まった。

芳丸隆邦の顔に浮かんでいた薄い嘲笑が、粉々に砕け落ちる。

彼はソファから立ち上がり、顔色を悪くしたまま言い訳めいた声を出した。

「じゅん、どうしてここに……弟...

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