第45章 これは金持ち自慢に来たんだろう

文井青葉は唇の端を嘲るように吊り上げた。

「そうだといいけどね。じゃなきゃ――全国ネットの前で、自分で自分の顔を潰すだけ」

それに比べて、白川凰姫の登場は静かだった。まるで一滴の水が海へ溶けていくみたいに。

白いパンツスーツは驚くほどシンプル。ほとんど化粧をしていない顔に、余計な感情は映らない。ただ、視線だけが澄んでいて、ひたすらに一点を見つめていた。

彼女は記者の呼びかけを一切無視し、従業員用の通路からまっすぐにバックステージへ入っていく。

川瀬清子が隣に腰を下ろし、ぬるめの水のボトルを差し出して小声で愚痴った。

「見た? あの調子乗った顔。さっき裏を回って聞いたんだけど、あい...

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