第54章 何かあったら私が引き受ける

彼は勢いよく立ち上がると、上着をひったくり、そのまま大股で外へ向かった。

「おい、どこ行くんだよ?」と、新谷善帆が背中へ声を投げる。

芳丸巡哉は振り返らない。返したのは、断ち切るような背中と、氷みたいに冷えたひと言だけだった。

「うるさい」

また秋雨だ。湿った空気が、いっそう肌寒い。

芳丸巡哉は椅子に深く腰を預け、気怠げな姿勢のまま、火もつけていない葉巻を指に挟んでいた。視線は何度も、無意識みたいにスマホの画面へ落ちる。

もう5日も家に帰っていない。

それなのに、白川凰姫からは電話1本かかってこなかった。

自分のことなんて少しも気にしていないのかと思えば腹が立つ。かといって、...

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