第59章 孫嫁はこのところ気が荒くなってきた

「家のほうで、ちょっとあってさ」

芳丸巡哉はベッドの縁に腰を下ろし、白川凰姫を見た。言葉を選ぶように、少しだけ間を置く。

芳丸の本家は何かと作法がうるさい。白川凰姫は気が弱いところがあって、昔から戻るのを嫌がっていた。負担に思わせたくない。

だから巡哉は、冗談めかした調子で言う。

「婆さまが山から下りてきた。時間があるなら、顔出してやって」

「行きたくないなら――」

そう続けかけて、言葉を引っ込めた。ここ最近の凰姫は情緒が安定していない。これ以上揺さぶるのも面倒だ。

芳丸の本家は、白川凰姫にとって白川家と同じ。息が詰まる場所だ。

なかでも松本清芽の前では、彼女はいつだって“よ...

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