第64章 芳丸巡哉が贈ったのか?

新谷知代の笑みが、すっと顔から消えた。

帰国してからというもの、薄々気づいてはいた。白川凰姫は、彼女が思っていたほど扱いやすい女ではない。

白川凰姫は、美貌以外は何もない飾り——そう決めつけていた。知代の企みも、遠回りも、すべてはその認識の上に成り立っていたのに。

この女は、逆らわず耐える灰かぶり姫なんかじゃない。棘を隠した薔薇だ。

白川凰姫はひとり礼堂の外へ出て、人の気配のない回廊の下に腰を下ろした。夜風がひやりと頬を撫で、火照りは散っていく。けれど胸の中に絡みついたもつれは、ほどけないままだ。

遠く、燦々と灯りを湛えた礼堂を見つめる。自分だけが舞台の外に取り残され、関係のない壮...

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