第109章 二度目の結婚相手

病室は、針一本落としても聞こえるほど静まり返っていた。

小野寺彩音は俯き、ベッドに横たわる男と視線を合わせた。

その表情は冷めており、探るような、そして自嘲の色を帯びていた。

古賀硯司の顔から先ほどの気だるさが消え、仕方なさそうに言った。「知世、君が愚かだというなら、この世に賢い人間などどこにいる?」

古賀硯司は少し興味を引かれたようだった。「いつから疑っていた?」

「薬草であなたの傷の手当てをしていた時よ。包帯を巻けば巻くほど、頭が冴えてきて、自分が馬鹿みたいに感じたわ」

小野寺彩音はもともと座って、彼と冷静に話そうと努めていたが、この時ばかりは堪えきれずに立ち上がった。

冷静...

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