第110章 誰が犯人か?

退院後、小野寺彩音は洛条北兎と合流し、小野寺静のいる病院へと直行した。

小野寺永海と中村盈はアメリカから駆けつけたばかりで、今は小野寺俊明のベッドの傍らに座り、あれこれと気遣いの言葉をかけている。

小野寺静はどこか上の空で、小野寺彩音が病室に入ってくるのを見ると、無意識にびくりと体を震わせた。

「私、あなたを怖がらせちゃったかしら?」小野寺彩音は興味深そうに微笑みながら尋ねる。

小野寺静は、小野寺彩音に向ける視線に無意識の恐怖を滲ませながらも、浅く息を吸い込み、無理やり自分を落ち着かせようとした。

中村盈は小野寺彩音にちらりと目をやったが、珍しく何も言わなかった。

「彩音、お前は硯...

ログインして続きを読む