第224章 それとも、ベイビー?

古賀硯司がオフィスから出てくると、廊下の陽光の中に小野寺彩音が立っているのが見えた。

女の頬の細かな産毛はまるで金色の光を帯びているかのようで、きらきらと輝く小さな人形のように、暖かな雰囲気を醸し出していた。

古賀硯司は小野寺彩音の背後に立ち、その長身を活かして彼女と同じ視線の先を覗き込んだ。

窓の外には満開の遅咲きの桜が広がり、ちらほらと学生たちが桜の下を歩いている。

「何を見ているんだ?」古賀硯司が尋ねた。

小野寺彩音は、彼が背後に立った時からその気配を感じていた。横にある光を反射する花瓶に、後ろの人影が映っていたからだ。

「静けさとロマン」小野寺彩音は、彼女ならではの文艺的な...

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