第24章 古賀様は嫁を大切にする

厳密に言えば、小野寺彩音と古賀硯司は隣り合って座っているわけではない。二人の間には一人分の席が空いていたが、少し首を傾ければ互いの顔が見える距離だった。

手足の長い大柄な古賀硯司が腕を伸ばせば、すぐにでも小野寺彩音に触れることができた。

オークションは滞りなく進行していく。小野寺彩音は序盤の出品物には興味がなく、どこか上の空だった。右側から伝わってくる無形の圧迫感ははっきりと感じられる。

彼女は苛立ち、ちらりと彼の方へ視線を向けた。

ところが、男は前方を向いたままで、彼女の視線に気づいてようやくこちらを見た。

男は眉を微かに上げ、用があるのか、とでも問うかのような表情を浮かべる。

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