第245章 私はあなたの最初の男

古賀グループにおける神崎暁のキャリアは特殊なものだった。彼女は法務部に天下りし、社長秘書室との繋ぎ目にあたる席に座っていた。普段の仕事はグループのプロジェクトとはあまり関係がなく、むしろ法務研修や社長秘書室との連携業務、そして部署の古賀硯司から命じられる個人的な仕事が多かった。

それゆえ、神崎暁が社長室に呼び出されたときも、特に驚きはなかった。

「古賀社長、私は——」

神崎暁は秘書長に続いて社長室の小会議室のドアをノックし、中にいる人物を見て、口をつぐんだ。

高橋樹が革張りの回転椅子に寄りかかり、こちらへ向き直ると、余裕綽々の様子で彼女を吟味するように言った。「神崎博士」

神崎暁は口...

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