第304章 彼の奥さん、うっかり者

十分後。

二人の男が一緒に個室へ戻ってきた。一人は相変わらず無表情で、もう一人も変わらず冷淡で素っ気ない。まるで口論や喧嘩をしてきたようには到底見えず、そこには奇妙な一体感すら漂っていた。

小野寺彩音は内心で首を傾げた。

『?』

この二人、いつの間にこんなに仲良くなったの?

江沢冬弥は長居せず、帰る前に洛条北兎と生まれたばかりの赤ん坊に贈り物を残していった。

「彩音……またな」

江沢冬弥の眼差しに何か含みがあるように感じたが、「またな」という一言自体に特別な意味はない。

「ええ、またね、先輩!」

江沢冬弥が去ると、小野寺彩音は訝しげな目で古賀硯司を見つめた。「どうして急に先輩を...

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