第306章 ベイビー、口頭での感謝は受け付けません

駐機場の飛行機に、待合ロビーの声は届かない。

ドアを閉ざしたプライベートジェットが、無関係な人間のために足を止めることなどあり得ない。

「洛条北兎! 戻ってこい!」

加賀庭川がどれほど苦痛に満ちた叫びを上げようとも、飛び立っていくガルフストリームを引き留めることはできなかった。

この間ずっと宙ぶらりんだった加賀庭川の心は、この瞬間、完全に地面へと叩きつけられた!

ようやく彼は理解した。ここ数日、洛条北兎の態度はごく普通で、いつも通りに彼にむくれて見せていたというのに、なぜ自分がこれほどまでに不安を覚えていたのかを。

明らかにおかしいと気づいていたのに、なぜ深く追及しなかったのか?

...

ログインして続きを読む