第328章 失ってまた得る

「何?」

神崎暁は頭を働かせるのも億劫で、とりあえず重い瞼を持ち上げて彼を見た。

男はソファの脇に立ち、彼女を見下ろしている。

彼は重ねて問うた。

「何を探していたんだ?」

神崎暁は反応するのに数秒を要した。彼が、自分が雨の中外で何かを探していたことを知っているのだと気づく。

「ペンダントよ」

神崎暁は目を閉じ、出任せを口にした。

「どんなペンダントだ?」

「……ただのペンダント」

知るわけがない。そもそも存在しないペンダントなのだから!

高橋樹は呆れて失笑しそうになったが、彼女のあまりに弱り切った様子を見て、笑い声を飲み込んだ。

神崎暁は目を閉じたまま、彼からの返答を待った...

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