第329章 良心が痛む

神崎暁は唇をきゅっと引き結び、言葉に詰まった。

指輪を外そうと手を持ち上げる。だが、その動きを見透かしたかのように、高橋樹が即座に彼女の手を上から押さえつけた。

「いらないなら、何を探していたんだ?」

高橋樹は無表情で彼女を見据えていた。神崎暁に対して、これほど露骨に威圧感を放つのは珍しいことだ。彼はもう、彼女に逃げ場も退路も与えるつもりはなかった。

「ジュエリーには詳しくありませんが、この指輪が安く見積もっても六桁(数十万)は下らないことくらい分かります」

神崎暁は薄く笑った。

「高橋様にとっては、ワイン一本にも満たない端金(はしたがね)かもしれませんが、私にとっては大金です。『...

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