第337章 高橋樹を譲ってやる、受け止められるか?

「樹!」

声を聞きつけた高橋の母君が、急ぎ足でやってくる。

その視界には、どこか居心地悪そうに身を縮める古川月と、対照的に神崎暁に寄り添うように頭を垂れ、親密に言葉を交わしている高橋樹の姿があった。その場の異様な空気を感じ取り、彼女は即座に事態を察する。

彼女はちらりと神崎暁に視線を走らせたものの、あえて挨拶はせず、高橋樹にだけ声をかけた。

「ちょっと来なさい。お父様が呼んでいらっしゃるわ」

明らかに、神崎暁のそばから高橋樹を引き剥がすつもりだ。

高橋樹は迷わず神崎暁の手を握りしめ、問い返す。

「それは今すぐでなきゃいけない用事なのか? 急ぎだと言うなら、俺は彼女も連れていく」

まさ...

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