第339章 素敵な一夜

「ドガッ——!」

肉と肉がぶつかり合う鈍い音が、室内の調和を打ち砕いた。

高橋樹の拳が、藤崎渉の顔面を捉える。藤崎渉が反応する間も与えず、間髪入れずに二発目が見舞われ、激しい音が響いた。

我に返った周囲の人々が、慌てて二人を引き剥がす。

「高橋様、話し合いましょう! 今日はそちらが主催の場ではありませんか。手荒な真似はまずいでしょう」客の一人が仲裁に入る。

「高橋樹!」神崎暁が高橋樹の腕を抱え込み、それ以上の暴挙を制止する。

藤崎渉は藤崎家の次期当主だ。桜庭凱のように、気安く殴っていい相手ではない。

「藤崎の若様ともあろう男が、俺の将来の妻に対してその態度……。お前の薄汚い所業の...

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