第349章 彼女は高橋社長が大好きな元恋人

高橋樹の入院生活は三日に及んだ。

その退院の日——古賀硯司が見舞いに訪れる。

「手ぶらか?」

機嫌の極めて悪い高橋樹は、誰彼構わず噛みつきそうな剣幕だ。

古賀硯司は軽く肩をすくめる。

「来てやっただけありがたいと思え。来なかった奴もいるんだろ?」

傍らに控える高山補佐は、壁のシミにでもなったかのように気配を消し、息を殺している。

『来なかった奴』——それが神崎暁を指していることは、火を見るよりも明らかだった。

高橋社長の急所をここまで正確にえぐる度胸があるのは、古賀社長くらいのものだ。

「……なんで知ってる」

高橋樹が忌々しげに問う。

古賀硯司は当然のように答えた。

「彼女な...

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