第354章 高橋樹は吹っ切れた?

神崎暁はデスクに戻ると、苛立ち紛れに髪をくしゃりと掴んだ。同僚たちからの、それとなく探るような視線が肌に突き刺さるのを感じていたからだ。

直属の上司でさえ野次馬根性を隠しきれないのだ。同僚たちの間では、自分と高橋樹の一件が何周語られ、今ごろどんな尾ひれがついた話に化けていることか。想像するだけで頭が痛い。

不意に法務部のオフィスの外に周藤啓が姿を現した。軽くドアをノックし、声をかけてくる。

「神崎さん、古賀社長がお呼びです」

その場にいた全員の視線が、示し合わせたように神崎暁へと集中した。その顔にはありありと書いてある——『うわお!』と。

これまで古賀硯司が神崎暁を呼ぶ際、周藤啓ほど...

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