第355章 双子を宿す

「別れようと言い出したのは彼女だぞ。今さら俺に何を言えって言うんだ?」

高橋樹にだって意地はある。

彼は度重なるように彼女の元へ足を運び、あえて二人の女の影をちらつかせて彼女の気を引こうとした。だが、彼女はそれを知っても無反応。あの女たちは何でもないと説明させても、やはり無反応。まるで、本当に心の底からどうでもいいと思っているかのように、徹底的に無関心だった。

あまつさえ、大勢の前で彼女との関係がまだ続いているかのように匂わせても、彼女は頑なに『元カノ』という立場を崩そうとしない。

思い出すだけで苛立ちが募る。高橋樹はエレベーターを降りるなり、タバコに火を点けた。

「なら、法務担当を変...

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