第58章 古賀硯司お前はクソ野郎だ!

古賀家の三男の奥様は古賀硯司を愕然と見つめ、彼の態度にすぐには反応できなかった。

もう離婚の話までしているのではなかったか。どうして古賀硯司は周藤啓に小野寺彩音を迎えに行かせたりするのか。

きっと、そうに違いない。これは古賀硯司が姑孝行のために、大奥様の世話をさせるべく小野寺彩音を呼んだのだ。きっとそうだ!

古賀家の三男の奥様がそう自分を慰めていると、古賀硯司が小野寺彩音に歩み寄り、何の前触れもなく彼女の手を取って、持ち上げてじっくりと見つめるのが見えた。

彼の視線は小野寺彩音の手首に落ち、そこにはすっかりかさぶたになり、一部は剥がれ始めている傷口があった。

その手つきは、どこか慎重...

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