第8章 古賀様、あなたは一体誰の夫ですか?

「お父様、この翡翠の数珠、見覚えはありませんか」

小野寺彩音は携帯で京華オークションハウスの翡翠の数珠の競売情報を見つけ、小野寺永海に見せた。

「こ、これは南韻のものではないか」小野寺永海は南韻と長年連れ添った夫婦であり、当然、南韻の嫁入り道具に見覚えがあった。

「まさか、家に泥棒でも入ったのかしら」中村盈が先手を打った。

使用人たちは皆、顔を青ざめさせ、自分ではないと口々に弁解を始めた。

小野寺彩音は訝しげな表情を浮かべた。「収蔵室の鍵は中村おばさん、あなたしか持っていません。使用人では盗めませんよ」

「彩音、あなた、私がお母様の物を盗んだとでも言いたいの? 私はこの家のために長...

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