第10章

藤原宴にとって、隆太は彼の命よりも大切な存在だった。

北村陸はうなずいた。「では、この件は私に任せて。人は私が探す」

もともと隆太の病状だけでも藤原宴を悩ませていたのに。

朝起きたら、彼が狙っていた土地が一晩で誰かに買われてしまった。

彼はこのビルの買収に多額の投資をし、関連する契約も十数件も結んでいた。

控えめに見積もっても、今回のグループの損失は少なくとも600億。

藤原宴は疼くこめかみをさすった。

この案件はもともと確実に成功するはずだった。

この土地についても既に話を通しておき、現地の環境も調査済みだった。

絶対に誰かが意図的に彼に対抗しているのだ!

だが、その人...

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