第52章

高田啓介は小川汎子たちの方へ顔を向けた。

相変わらず目を細め、人畜無害で温厚そうな表情を浮かべている。

だが、彼の周囲の空気は明らかに冷たくなっていた!

小川汎子たちはすでに怯え切り、おろおろと脇に立ち、震えていた。

高田啓介は小川汎子を見つめ、まるで優しいとも言える口調で言った。

「君も言ってみてよ。もし君が悪くないなら、姉さんに殺されそうになっても守るよ。でも、嘘はつかないでほしい」

小川汎子は頑なに認めようとしない。

「嘘をついているのは彼女よ。確かに彼女の息子が姉の子を押したのに、謝りもしなかったの。私はただ姉の子のために説明を求めただけなのに、彼女があんなに怖くて、彼...

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