第285章 異変

その声を聞いて、彼らの顔には一様に驚きの色が浮かんだが、青井幸一だけは対照的に安堵の表情を見せた。

「我々は佐藤社長に雇われた護衛チームだ。たった今、ご家族を上の階から救出し、このホテルから脱出するところだ」

曲がり角の暗がりはしばらく沈黙を保っていたが、やがて不意に声が響いた。

「身分を証明していただきたい」

青井幸一はあらかじめ予想していたかのように、スマートフォンを取り出すと、佐藤健志と北村萌花にレンズを向けて写真を一枚撮った。

「今、俺たちの写真を撮った。これをそっちに投げるから、よく見てくれ。スマホであって、手榴弾じゃない」

彼が床を滑らせるようにして投げたスマートフォ...

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