第310章 北村萌花の心配

手術室からストレッチャーを押して出てきた北村萌花。その上で佐藤健志は蒼白な顔をして横たわっていた。

「どうなんだ、萌花さん? 健志の具合は!」

妻の雀を抱き寄せながら、佐藤哲也が血相を変えて駆け寄ってくる。

萌花は小さく頷いた。

「安心してください。峠は越えました。あとは意識が戻るのを待つだけです」

その言葉に、その場にいた全員が安堵の息を漏らした。その後、健志は看護師たちによって特別病室へと運ばれていった。佐藤家の面々もそれに付き添い、今は一秒たりとも彼から離れたくないといった様子で病室へと入っていく。

だが、萌花は彼らに付いていくことはせず、血まみれの手袋を外すと、手術室前の...

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