第36章 名医現れる

北村萌花がその名を口にすると、その場にいた全員の視線が彼女に注がれた。浪さんが彼女の頬を抓みながら尋ねる。

「どうしておれたちが武さんの手下だとわかった」

相手の正体がはっきりしたことで、北村萌花はかえって安堵のため息を漏らした。彼女は男の手を振り払い、真剣な表情で言った。

「私はあなたたちの武さんの恩人よ。私を傷つけることは許さない」

その言葉を聞いて、男たちはみな大笑いした。浪さんは彼女の頬をパンパンと叩く。

「北村萌花、おまえはわかってねえようだな。おまえを捕まえろって命令したのは、その武さんなんだぜ。好き勝手に痛めつけていいとも言われてる。それで恩人だぁ? 嘘をつく前に...

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