第37章 彼女と大きな遊びをする

田中武が以前、北村希とつるんでいたのは、他でもない、北村昇太が手にする金、そして彼の会社の株を狙ってのことだった。

しかし今や命さえ危うい状況だ。そんなものに何の意味がある。この女とは即刻手を切らねばならない。

「分かってくれればいい。これからは天に背くような真似は控えることだ。そうすれば平穏無事に過ごせる」

「名医の言う通りにします」

田中武は彼女を送り返そうとしたが、北村萌花に断られた。彼が渡そうとした詫びの品も受け取らず、こういう連中とは、やはり一定の距離を保つのが賢明だろう。

北村萌花は車に戻ったが、すぐには家路につかなかった。代わりに、北村希がここ数年会社で横領し...

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