第55章 危険を脱する

佐藤和也が駆けつけた時には、医療スタッフも現場に到着しており、佐藤玲子の容態を確認したが、依然として危険な状態は続いていた。

北村菜々美は立ち去ろうとする北村萌花を引き留めた。「先生、さっき患者を気絶させたのも、治療したのも彼女です。このまま行かせちゃダメです」

佐藤和也は怒りに満ちた顔で言った。「北村萌花、お前がこんな悪辣な女だったとはな。俺たちを憎むのは勝手だが、年寄りに手を出すべきじゃなかった」

北村萌花は白目を剥いて言い返した。「黙って。人命救助が先よ。私もついて行くわ」

佐藤玲子の状態は確かに危険だった。先ほど彼女が鍼を打たなければ、おそらくもう死んでいただろう。病...

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