第62章 胸の前にどうして赤い印があるのか

北村萌花は顔を火照らせ、二歩下がって距離を取った。

佐藤健志はため息をつく。「今日は大人しく休んでろ。何か用事があるなら明日にしろ。子供たちにお前の弱った姿を見せたいわけじゃないだろ」

その言葉に北村萌花ははっとした。子供たちに心配をかけてはいけない。彼の言う通りにするしかなかった。

「わかったわ。じゃあ、お願いね。子供たちを起こしてくる」

北村萌花がドアを開け、一歩踏み出したところで、ちょうどこちらへ歩いてくる子供たちの姿が見えた。ベッドにまだ人がいることを思い出し、慌てて部屋から出てドアを閉める。

光咲はそれを見てきょとんとした。「ママ、何してるの? なんだか後ろめたい...

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